
Googleが先週配信した「Android 16 QPR1」アップデートは、PixelシリーズにMaterial 3 Expressiveデザインなどの新機能をもたらしました。しかし、その裏でオープンソース版「AOSP(Android Open Source Project)」のソースコード公開が遅れており、開発者コミュニティに波紋を広げています。
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公開が1週間以上遅れる異例の事態
Googleは通常、新しいAndroidバージョンをPixel向けに配信してから24〜48時間以内に対応するAOSPのソースコードを公開しています。しかし今回のAndroid 16 QPR1については、配信から1週間が経過しても公開が始まっていません。
Googleは海外メディアの取材に対し「数週間以内に公開する」とコメントしていますが、具体的な理由や日程は明らかにしていません。
AOSPとカスタムROM開発の関係
AOSPはApache 2.0ライセンスのもとで提供されるオープンソースのAndroid OSで、誰でも自由に利用・改変・配布することが可能です。各種カスタムROM(LineageOSなど)は、このソースコードをベースに独自の機能や最適化を加えて配布されています。
そのため、GoogleによるAOSPコードの公開が遅れると、独立系開発者が最新Android機能を取り込むまでに時間がかかり、結果的にユーザーへの提供も遅れてしまいます。
開発者の懸念とGoogleの姿勢
Googleは今年、AOSPの開発プロセスを全面的に非公開化し、完成したコードのみを公開する方針に切り替えました。こうした変更により「Androidのオープンソースとしての将来性」に不安を抱く開発者も増えています。
実際、6月にリリースされたAndroid 16ではPixel専用ハードウェア関連のコードが省略され、カスタムROM開発者から強い懸念が示されました。当時GoogleのAndroid部門VPは「AOSPを終了する予定はない」と明言しましたが、今回の遅延で再び疑念が広がっています。
今後のAOSP公開体制に注目
Android 16 QPR1自体はPixel向けに配信済みですが、AOSPのソースコード公開が遅れていることは、オープンソースを基盤とするAndroidのエコシステムにとって大きな関心事です。Googleは「数週間以内に公開する」としていますが、今後も遅延が常態化するのか、それとも一時的な問題なのかが注目されます。