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Apple史上もっとも「修理しやすい」iPad、でも道のりは長い
Appleの最新タブレット「iPad Pro M5」が、iFixitによる分解リポートで修理スコア5/10を獲得しました。
これは同社のiPadシリーズでは過去最高の評価。ただし「まだまだ実際の修理は難しい」とのことです。
この結果は、Apple Insiderが10月30日に報じたもの。iFixitは「Appleの“修理パラドックス(Repair Paradox)”がここにも現れている」と指摘しています。つまり、Appleが純正パーツや公式マニュアルを公開している一方で、実際の内部設計は依然として複雑で、分解・交換作業には大きなハードルが残っているというわけです。

内部構造はほぼM4世代と同じ、チップのみ刷新
分解によると、M5 iPad Proの内部レイアウトはM4モデルとほとんど同じで、目立った設計変更はありません。
違いは、Apple M5チップへのアップグレードによる性能・効率の向上のみ。
内部構造は非常にコンパクトで、剛性と薄さを優先した設計が続いています。Apple社内ではこれを「Longevity by Design(長寿命設計)」と呼び、耐久性を重視するアプローチを取っているそうです。
ただ、その結果として修理のしにくさが残っており、「安全性・耐久性・修理性のバランスを取っている」とAppleは説明しています。
iFixitによると、この5/10というスコアは、これまで3/10だった旧モデルからは確実な前進とのこと。
MacBookにも見られる“じわり改善”の流れ
この評価は、Appleの他の製品にも共通しています。
たとえばM5チップを搭載した14インチMacBook Proでも、バッテリー交換の容易化やモジュラーポート化など、細かな改善が確認されています。
iFixitは「Appleのエンジニアリングチームが徐々に“修理しやすさ”を設計に取り込んでいる」と評価。これらの小さな変化は、Appleが公言している“修理権への取り組み”と一致しているようです。
耐久性重視の設計が修理を阻むという現実
近年のApple製品は、防塵・防水・ねじれ防止を優先するため、筐体を完全に密閉する傾向があります。
これにより日常使用での耐久性は向上する一方、スクリーンやバッテリー交換時の分解は難航。強力な接着剤や一体化されたケーブル、ガラス融合構造などが、修理の障壁となっています。
Appleは環境面での責任も強調しており、「長期ソフトウェアサポート」や「リサイクルプログラム」で製品寿命を延ばすことがCO₂削減につながるとしています。
ただし環境団体は、「修理アクセスの制限は依然として厳しい」と批判。
Appleは今後、M5 iPad Pro向けのセルフサービス修理パーツとドキュメントを公開予定です。これが「実質的な修理解放」になるのか、それとも単なる法令対応にとどまるのかが次の注目点となりそうです。
引用: Apple Insider
