Appleが長年関心を寄せてきた特殊素材「Liquidmetal(リキッドメタル)」が、ついに本格的に採用されるかもしれません。アナリストのMing-Chi Kuo氏や中国SNS上のリーカーによると、Apple初のフォルダブルスマートフォン「iPhone Fold」のヒンジ部分に、この金属ガラス素材が使われる可能性があると報じられています。
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10年以上の付き合い。AppleとLiquidmetalの関係
Liquidmetalは、カリフォルニア工科大学で開発された「アモルファス金属合金(非結晶金属)」で、原子構造が規則的でないため、高い強度・弾性・耐食性を備えています。チタンのように軽く、それでいてステンレス鋼の1.5倍の硬度を持つことから、医療機器や軍事技術、ゴルフクラブなどにも使われてきました。
Appleはこの素材に早くから目をつけ、2010年にLiquidmetal Technologies社と独占ライセンス契約を締結。実際にiPhoneやiPad(第1世代)のSIMピンに使用されたことがあります。ただしそれ以降、製品としての採用例はなく、特許や実験レベルでの活用に留まっていました。

iPhone Foldのヒンジに採用との噂
そして2025年3月、アナリストのMing-Chi Kuo氏が「AppleはiPhone Foldのヒンジ部品にLiquidmetalを使用する」と報告。さらにWeibo上のリーカーSetsuna Digital氏も、「アモルファス合金(Liquidmetalの一種)」が採用されると投稿しています。
この素材は軽量かつ高い耐久性を持ち、特に「繰り返しの折りたたみ」に耐えられる点で、フォルダブルスマホのヒンジ素材として理想的です。
Appleがサプライヤーとして契約しているとされるDongguan Yian Technologyが、Liquidmetal部品の独占供給を担うとの報道もあります。ヒンジ構造に求められる「薄さ」と「強度」を両立できる素材として、Appleが10年以上温めてきた技術がいよいよ実用化される可能性が出てきました。
軽さと強度のバランスで実現する新たなデザイン
iPhone Foldでは、折りたたみディスプレイの「シワ」や「劣化」を抑えるため、ヒンジの構造が非常に重要です。ステンレスでは重く、アルミでは柔らかすぎる。その中間を狙えるのがLiquidmetalというわけです。

Jeff Pu氏によると、アルミニウムとチタンのハイブリッドフレームも採用される見込みで、Liquidmetalを含めた金属設計全体で「軽くて丈夫」な筐体を実現しようとしていると見られます。
10年越しの素材が、Appleの折りたたみ初号機に命を吹き込むか
現時点では、AppleがLiquidmetalをiPhone Foldのヒンジに採用するという明確な証拠はありません。しかし、これまでの長期的なライセンス契約や複数の特許申請、そして今回の報道の一致を考えると、Appleがこの素材を再び本格活用するタイミングにあることは確かです。
初代iPhone Foldが「軽くて壊れにくい」折りたたみスマホになるなら、その裏にはLiquidmetalという10年以上温められた野心的な素材があるのかもしれません。
引用:AppleInsider
