
ロンドン発のテックブランドNothingが、スマートフォンの先を見据えた新たなビジョンを示しました。同社CEOのカール・ペイ氏は、AIを軸とした製品体験の拡大を目指し、スマートグラスなど新カテゴリーへの参入を計画していると明らかにしています。
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AI主導の「ポストスマホ」時代を想定
Nothingは先日、シリーズC資金調達ラウンドで2億ドルを獲得し、企業評価額は13億ドルに到達しました。この節目にあわせてペイ氏は、「スマートフォンはここ数年ほとんど進化していない」と指摘。その上で、AI技術を活用し、複数のデバイスに対応できるハードウェア非依存型のOSを構築する必要性を強調しました。
同氏は「10億人には10億通りのOSが必要になる」と語り、個々のユーザーに最適化された体験を提供する未来像を描いています。その中核を担うとみられるのが、AI搭載のスマートグラスやウェアラブルデバイスです。
競合他社も動く拡張現実(XR)分野
拡張現実やスマートグラスは、すでに大手テック企業が注力する分野です。MetaはRay-Banとの協業でスマートグラスを展開し、今後はさらに高機能化を進める予定です。Samsungも今月中に、Googleの「Android XR」基盤を採用した「Project Moohan」を発表すると見られています。
一方でAppleの「Vision Pro」は高価格帯が課題とされ、普及には時間がかかるとの見方もあります。その中でNothingが参入することで、競争が一層活性化する可能性があります。
成功の鍵は価格戦略と体験設計
Nothingは「次世代デバイスの登場は不可避」とし、業界の潮流に乗れる立場にあるとしています。ただし、同社の最新スマートフォンでは価格面での課題が指摘されており、新製品でどのようなモデルを打ち出せるかが成否を分けるポイントとなりそうです。
現時点では、Nothingのスマートグラスを含む新製品の日本発売予定は未定です。
ポストスマホ時代に向けたNothingの挑戦
Nothingは、AIを軸にスマートフォンの次を担うハードウェア体験を模索しています。スマートグラスをはじめとしたウェアラブルデバイスの開発構想は、停滞するスマホ市場に新たな刺激を与える可能性があります。今後の動き次第では、ポストスマホ時代の主役に名乗りを上げる存在となるかもしれません。