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音割れをめぐる集団訴訟、判事が一部棄却
初代AirPods Proの「音割れ」や「ノイズ問題」をめぐる集団訴訟で、Apple(アップル)が一部の主張を退けることに成功しました。
10月29日、米カリフォルニア州サンノゼの連邦地裁で、ノエル・ワイズ判事が原告側の一部主張を却下。ただし、Appleが音の問題を隠して販売を続けたとする部分については審理を継続する判断を下しました。
この訴訟は「Lindsey LaBella et al v. Apple Inc」(事件番号5:24-cv-07588-NW)として2024年に提起されたもの。Reutersによると、Apple側は「主張には根拠がない」と一貫して争う姿勢を見せています。

問題の対象は2019〜2022年販売分
訴状によると、2019年から2022年までに販売された初代AirPods Proで「パチパチ音」「静電気ノイズ」「背景ノイズ」が発生するケースがあったとのこと。原告9名は米国内7州から集まり、Appleが外部音の遮断性能を誇張し、問題を把握していながら販売を続けたと主張しています。
Appleは2020年10月に無償交換プログラムを開始し、該当製品を修理・交換する対応を実施していましたが、原告側は「販売前に問題を警告すべきだった」と主張。単なる交換では不十分だと訴えています。
「安全リスクがないなら告知義務なし」とApple側
Appleの代理人であるMorrison & Foerster法律事務所は、「企業が欠陥を開示する義務があるのは安全上のリスクがある場合のみ」と主張。AirPods Proの不具合は安全性に関わる問題ではなく、保証期間内に交換も行われているため、告知義務はなかったとしています。
実際、原告の一部は既に無償交換を受けており、Appleは「問題には適切に対応した」と説明。一方で裁判所は、Appleが音響上の不具合について重要な情報を消費者に開示しなかった可能性は残っていると判断しました。
次の焦点は「Appleがどこまで知っていたか」
今回の判断により、「不当利益を得た」とする主張は棄却されましたが、消費者側は「Appleが不具合を認識していながら沈黙したかどうか」を引き続き主張できます。
今後、原告側は21日以内に訴状を補足し、Appleが社内でどの段階まで問題を把握していたのかを明確にする必要があります。
もしそれが認められれば、訴訟は「ディスカバリー(証拠開示)」段階に進み、Appleの設計・検証プロセスが公に明らかにされる可能性もあります。
現時点では、Appleは全米規模の損害賠償リスクを免れた形ですが、訴訟自体はまだ終わっていません。次の焦点は、「Appleがどこまで知っていたか」という一点に絞られつつあります。
引用: Apple Insider
