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フィットネス業界の盟友に亀裂
ランナーやサイクリストにはおなじみのフィットネスアプリ「Strava(ストラバ)」が、長年のパートナーであるGarmin(ガーミン)を提訴しました。
理由は、GarminがStravaの特許を侵害しているとするもの。対象となるのは「セグメント(Segments)」と「ヒートマップ(Heatmaps)」という、両サービスのユーザーにとって欠かせない機能です。
訴状によると、StravaはGarminに対し、これらの特許を使用した製品の販売停止を求めています。対象には、Garminの多くのフィットネスウォッチ、サイクルコンピューター、そして「Garmin Connect」アプリが含まれる可能性があるとのことです。
特許の経緯と「合意違反」の主張
Stravaは2011年にセグメント機能の特許を出願し、2015年に認可。ヒートマップに関しては2014年と2016年に出願し、それぞれ2年以内に承認されています。
一方Garminは、2013年にはヒートマップ機能を、2014年にはセグメント機能を搭載した製品をリリースしており、Stravaより早く同様の機能を展開していたようです。
2015年には両社が提携し、Stravaの「Live Segments」機能をGarminのハードウェアとソフトウェアに統合。しかしStravaはその後、Garminがこの合意の範囲を超え、自社の技術をベースに独自機能を開発したと主張しています。
さらにStravaのCPO(最高製品責任者)Matt Salazar氏はReddit上で、Garminが新たに提示したAPI利用規約に不満を表明。GarminはAPIを利用する製品に自社ロゴの表示を義務づけようとしており、これも火種のひとつになっています。
ユーザーからは困惑と批判の声
Garminは訴訟に関して公式なコメントを出していませんが、ユーザーの反応は冷ややかです。
Reddit上では、「StravaはGarminと連携しているからこそ価値がある」「GarminとStravaどちらかを選べと言われたらGarminを選ぶ」といった声が相次いでいます。
実際、Stravaの利用者の多くはGarmin製デバイスを通じてアクティビティを記録しており、もしGarminとの連携が途絶えれば、自らのユーザーベースを失うリスクがあります。今回の提訴は、Strava自身の首を絞める可能性も否めません。
IPOを見据えた強硬姿勢か
Stravaの狙いは今のところ明確ではありませんが、一部では上場(IPO)準備の一環として、知的財産の保護を強化しているのではないかと見られています。
特許を明確に主張することで、自社技術の価値を市場にアピールする意図があるのかもしれません。
ただ、Garminとの関係悪化はユーザー体験にも影響を及ぼす可能性があり、業界全体に波紋を広げることは間違いなさそうです。
今後の法的判断が、フィットネスアプリとハードウェアの共存関係をどう変えるのか——注目が集まります。