ヨーロッパでPCを買おうとしていた人にとって、少し気になるニュースが出てきました。AsusとAcerが、ドイツ国内で一部PC製品の直販を停止していることが明らかになりました。背景にあるのはNokiaとの特許紛争で、対象は意外にも映像コーデック技術です。
今回の動きは一時的なものとみられていますが、欧州ガジェット市場全体に影響する可能性もあるため、経緯を整理しておきます。
目次
ミュンヘン裁判所の判断で直販停止
今回の発端は、ドイツ・ミュンヘン第一地方裁判所(Munich I Regional Court)の判決です。Nokiaが保有する標準必須特許(SEP:Standard Essential Patent)に関連する訴訟において、AsusとAcerが敗訴したことにより、差止命令(injunction)が認められました。
争点となっているのは、動画圧縮規格「H.265(High Efficiency Video Coding:HEVC)」に関する特許です。HEVCは4Kや高解像度動画配信で広く利用されているコーデックで、多くのPC製品やソフトウェア環境に関係する技術領域でもあります。
裁判所は、両社がFRAND(Fair, Reasonable and Non-Discriminatory:公正・合理的・非差別)条件の下で「積極的なライセンシーではなかった」と判断したと報じられています。その結果、ドイツ国内での対象製品の直接販売停止が命じられました。
小売店在庫は販売継続、直販のみ影響
重要なポイントは、今回の差止命令がメーカーに対するものであり、小売店には適用されないという点です。
つまり、Amazonなどの第三者販売チャネルにすでに流通している在庫については、引き続き販売が可能とされています。ただし、メーカーからの新規出荷が停止された状態が続く場合、在庫補充には影響が出る可能性があります。
Acerは海外メディアへのコメントで、ドイツ国内における対象製品の直販を一時停止していることを認め、現在は法的対応を検討していると説明しています。一方Asusは公式声明を出していないものの、ドイツ向け公式オンラインストアがメンテナンス表示になっていると報じられています。
なお、影響を受けない製品については、両社とも引き続き販売されているとされています。
過去にもNokia特許で販売停止事例
Nokiaの特許を巡る販売停止は今回が初めてではありません。
報道によれば、2024年にはAmazonが同様の特許訴訟で敗訴し、「Fire TV Stick」製品の仕様変更を余儀なくされました。また2023年にはOnePlusもドイツ国内で販売停止に直面した経緯があります。
Nokiaは声明の中で、自社技術の利用に対する「公正な対価」を求めていると説明し、AsusおよびAcerとの交渉継続の意思を示しています。また、Hisenseは関連手続きにおいてライセンス契約を締結したとも言及されています。
今後はライセンス交渉次第で解決へ
現時点では、今回の販売停止は恒久的なものではなく、控訴やライセンス交渉の進展によって状況が変わる可能性が高いとみられています。
PCそのものの技術仕様や性能に問題があるわけではなく、あくまで映像コーデックに関する特許契約の問題であるため、両社がライセンス合意に至れば販売再開に向かう可能性があります。ガジェットユーザー視点では製品そのものの利用に影響はありませんが、市場供給には一時的な変動が出る可能性がある点が今回のニュースの重要なポイントです。
引用: Notebookcheck
