シドニーで起きたある事故が、オーストラリア国内で改めて議論を呼んでいます。古いSamsung端末が「000(トリプルゼロ)」に繋がらず、利用者が命を落としたというもの。メーカーと通信会社が問題を調査しながら、対象モデルのアップデートや買い替えを強く呼びかけています。
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古いGalaxy端末が000へつながらず…事故の経緯
事故が発生したのは11月13日。亡くなったのはシドニー在住のLebara(TPG Telecom傘下)ユーザーで、アクティブなサービス契約があったにもかかわらず、緊急通報サービス「000」に接続できなかったとされています。
TPGはASX(オーストラリア証券取引所)への報告で、当時ネットワーク障害は確認されなかったこと、そして被害者が「緊急通報に非対応とされたSamsung端末」の一つを使っていた可能性を示しました。
この問題は今回が初めてではありません。今年9月には別の大手通信会社Optusで大規模障害が発生し、000に繋がらない事例が複数報告され、少なくとも3件の死亡例(乳児を含む)と関連付けられています。これを受け、議会調査の後、Telstra・Optus・TPGの大手3社は「緊急通報に非対応または要アップデート」とされる71機種のリストを共同で公開しました。
原因はソフトウェアの古さ。Vodafone 3G終了の影響も
Samsungと通信各社の説明によれば、根本原因は「古いソフトウェア」。
000へ発信する際、端末は利用中のネットワークに障害がある場合、別キャリアのネットワークへ自動的に切り替わる設計になっています。しかし古いソフトウェアではこの切替が正しく機能せず、結果として発信不能になるケースが確認されています。
特に問題となっているのが、Galaxy端末が000発信時にVodafoneの3Gへフォールバックする仕様。しかしVodafoneはすでに3Gネットワークを停止しており、一部古いモデルではこの切替が失敗 → 通話不能になる状況が続いていました。
Telstraは60機種のアップデート必須モデルを発表し、さらに「ソフト更新では改善できない11機種」も公表しています。
ソフトウェア更新では改善できないとされた11機種
・Galaxy A7 (2017)
・Galaxy A5 (2017)
・Galaxy J1 (2016)
・Galaxy J3 (2016)
・Galaxy J5 (2017)
・Galaxy Note 5
・Galaxy S6
・Galaxy S6 Edge
・Galaxy S6 Edge+
・Galaxy S7
・Galaxy S7 Edge
これらはアップデートでは改善が見込めず、通信各社は「機種変更が必要」と案内しています。
通信会社のテスト義務との関連も調査へ
一部報道では、被害者の端末は当時ネットワーク接続があったとされています。この点も含め、Samsungは各通信会社と協力して詳細を調査中。
同時に、ACMA(Australian Communications and Media Authority)は、今年施行した「Triple Zero対応テスト義務」への違反の有無を独立して確認しています。これは各キャリアに対し、対応端末モデルを半年ごとにテストするよう求めるものです。
今回の問題が示した“最も大きな教訓”
今回の事故で最も重いメッセージは、「緊急通報に関わる仕様は古い端末や旧ソフトのままだと確実にリスクになる」という点です。
Samsungと通信各社は、対象端末のアップデートおよび買い替えを利用者に改めて呼びかけています。日本で同様の事象が確認されたわけではありませんが、緊急通報はOSやネットワーク仕様に深く依存するため、海外動向として覚えておく価値はありそうです。
